年末年始のおこない

あちらとこちらの跨ぎ越し。

 年末は、画家の児玉靖枝さんの個展を見に行くために花隈へ向かいます。目線では、壁に掛かった絵を追い、身体は階段と踊り場をゆっくりと移動していく。《深韻》というテーマに、視線と気配を傾けながら、じっくり時間を掛けて階上していきます。上へ行く程、暖房の熱も上昇して上階に溜まっているので、頭がだんだんぼーっとしてきます。画廊のオーナーのおじさんが吸っている、葉巻の香りも。

 

 年始は、蹴上のアートスペース虹さんで、堀尾貞治さんの個展です。先着百名にその年の干支のオブジェがもらえます。結構、マイコレクション集まってきています。《あたりまえのこと》というテーマで毎年色んな展示をされます。作品のベースとなる、日々の行為の積み重ねを「おえかき帳」の束という物量で目の当たりにされます。店主の熊谷さんとのお話も、自分の暮らしの振る舞いに鑑みてみると、滝に打たれたような気分になって毎回頭が上がりません。こちらがほんとの初詣になっています。それにしても、このスペースは、茶室のようだなあ、とつくづく思います。

 

年末年始の休暇中には、なにか一冊、できれば長編の本を読むことにしています。このおこないは、今年で4年目。

 

1年目は、ガルシア=マルケス百年の孤独

2年目は、有吉佐和子恍惚の人

3年目は、星野博美「コンニャク屋漂流記」

 

そんなに長編でもないのですが…。できれば長編を読める体力を身につけたいなあという意志が、一応あるんです。

それで今年は、2年目に最初のたった10pで諦めてしまった、井上ひさし吉里吉里人」にしようかなあ、とも思っていたのですが。思うところがあって、「百年の孤独」を再読することにしました。それというのも、自分が気になっていることの一つに、“ルーツや家系にまつわること”が挙げられることに気付いたためです。過去に読んだ本を振り返っても、「恍惚の人」は、ちょっと別枠だけれど、他の二つは実は繋がっているように思います。さらに、年末年始読書とは別で、これに加えるとすれば、桜庭一樹赤朽葉家の伝説」。さらにさらに、これらの関連書籍としては、六車由美「驚きの介護民俗学」、上原義広「日本の路地を旅する」、宮本常一「忘れられた日本人」、中沢新一「大阪アースダイバー」、沖浦和光「竹の民俗誌—日本文化の深層を探るー」、「インドネシアの寅さんー熱帯の民俗誌」、六車由実「神、人を喰う」…

 

喰う、といえば、、、

毎年父の友人である宮津の漁師から、鰤をまるまる一匹贈られてくるのですが、ここ3年くらい、父指導のもと、鰤を捌くことが恒例行事のひとつとなっています。来年は、捌いた骨で標本をつくりたいなあ。