E坂にて

『マタドウロ(屠場)』をみて、同じ感覚を味わいたくなり近所を小一時間走ってみた。

途中、どうしょうもなく何往復もしたくなる坂道に出遭ってしまった。

駆け上がるときの、反重力と抵抗感が心地よく、6往復くらいした。すると、ぞろぞろと少年たちがやってきた。柔道をやっているらしく、毎晩練習後、この坂でトレーニングを積んでいるという。

少年のうちの一人が、仲間が一人増えたぞといってくれたので、彼らに混じって走ってみた。

どうしてここなのか問うてみたら、ある少年が「適度な角度と適度な距離感」という見事な答えを返してくれた。

わたしはそこを、エクスタシーの坂道と呼ぶことにした。