ど も り

教室のようなところで、数人で何かの本を輪読している。

自分が重要だと思うセンテンスを選んで朗読するみたいだ。

進行役の人が、先生が生徒にするように、一人一人がチョイスしたセンテンスについての感想を述べる。

わたしの番が回ってきた。

なにやら()や「」などが入った、音読するには難しい文章を選んでいる。大きな声が出ない。読み始めているのに、周りの人が発言したりして、中断される。また、読み始める。()の単語の上に、ふりがなで別の言葉がふってあって、ふりがなを読むべきか、本文の単語を読むべきか選択しなければならず、そのような表記が出てくる度ごとに迷う。小さな声で、もう内容の意味も理解しないまま、わたしは音読する。とぎれとぎれに。

たった一行半の文だったのに、ひどく苦労した。

進行役が感想を述べた。「『中へ、前へ、後ろへ』というところが興味深いね。」